賃貸と購入ではどちらが得なのか。お住まいの物件を探す時に、一度は突き当たるお悩みではないでしょうか。今回はそれぞれのメリット・デメリットをご紹介させていただきますので、ご自身にあったライフプランを構成する手助けとなれば幸いです。
賃貸と購入では、どちらが一生のスパンでみるとお得になるのか。この問題は、ご自身のライフスタイルによって大きく変わってきます。
例えば30〜80歳までの50年間に、家賃10万円前後の賃貸物件に5〜6回引越しながら住み続ける(Aパターン)のと、3,500万円ほどの物件を購入してそこに住み続ける場合(Bパターン)とでは、実はどちらもだいたい同じぐらいの総費用となります。
(家賃10万×12か月×50年=6,000万 手数料(敷金・礼金)25万×5回=125万 更新料10万/2年×20回=200万 引越し代15万×5回=75万 計6,400万円)
(元利均等金利1.47% 返済10.7万/月×12か月×35年ローン=4,494万 購入時諸経費200万 管理費・税金・修繕費35万×50年=1,750万 計6,444万円)
短い期間でのトータルコストを比べると、当然のことですが圧倒的に賃貸物件に住むほうが安く済みますが、長く住めば住むほど自己保有物件とのコスト差は縮まっていき、いずれ逆転する転換点を迎えます。例えばローンを完済し終えたタイミングなどはその典型的なタイミングとなりますが、それ以降は、逆転したコスト差は拡がり続けることになります。
しかし、賃貸の場合はライフスタイルの変化に伴って途中で引越しをして家賃が上下することがあるでしょうし、購入した場合であっても転勤などの理由で住み替えるケースも十分あり得る話ですので、トータルでかかる費用は一概にどちらが得か損かとは言い難いのが現実です。
結論として、トータルでかかる費用を基軸にして、賃貸or購入を決めるというのは得策ではないのです。
続くポイント2とポイント3では、賃貸と購入のメリット、デメリットをまとめてみました。自身のライフスタイルに合っているのはどちらなのか?と、照らし合わせながら読み進めていただければと思います。
1.ライフスタイルに柔軟に対応できる
2.設備のメンテナンスが必要ない
3.初期費用が安い
4.ローンを組む必要がない
賃貸物件の最大の魅力は、ご自身のライフスタイルに合わせて柔軟に住居を選択・対応できる点です。 例えば、子供ができたために部屋の数が多い物件に引越すこともできますし、逆に子供が大きくなり独り立ちした後は、部屋の数が少ない部屋に引越すこともできます。 その他にも、ご両親の介護のため実家付近に住む、子育てしやすい地域に住む、仕事の関係で家族での引越しなど、その時々の家庭事情に合わせて、柔軟に引越しができます。
購入物件の場合は、経年劣化によってその都度、自身で故障箇所の修繕をしていかなければいけませんが、賃貸の場合は原則として貸主側で物件の管理、修繕、メンテナンスを行なってくれますので入居者の負担はありません。
賃貸物件の場合でも敷金・礼金など数十万円の初期費用はかかりますが、それでも購入物件の手付金や登記費用など合わせて数百万円にもなる初期費用と比べると、賃貸物件の初期費用は安いといえるでしょう。
購入物件では、ほとんどの方が住宅ローンを組むことになると思います。一方で賃貸物件にはその必要がなく、万が一の事態があった際に住宅ローンほど大きなリスクになる可能性は、賃貸物件の場合にはありません。(もちろん、家賃を払うことができなくなるほどのダメージがあれば、それは別問題ですが...)
1.資産として残らない
2.居住している限り家賃がかかる
3.部屋のカスタマイズ性の低さ
購入物件は、購入しているので当然資産として自分の子供や孫に残すことができます。しかし、賃貸物件は借りているだけですので、ご自身の手元にずっと資産として残ることはありません。
賃貸物件の場合は、住宅ローンのように"払い終える"ということがないため、居住している限り一定の家賃を支払い続けなければなりません。ここで問題になりやすいのが、収入が下がった老後になると据え置きの家賃が急に負担になってしまう、という点です。
賃貸物件の場合は、壁に穴を開ける場合など逐一貸主側への確認が必要となります。大規模なリフォームなどは、いくら借主から要望を出したとしても、基本的に無理と考えるのが無難でしょう。
1.資産として残すことができる
2.部屋を自由に改装・装飾できる
3.物件の質が高いケースが多い
4.万が一のときの支払いの保証がある
自身の物件として、家族に資産を残せるのは購入物件の最も大きなメリットです。
お子さんやお孫さんがいらっしゃる方にとっては魅力ではないでしょうか。
ただし、物件としての資産はその物件の老朽化などで購入時よりも価値が減少する場合がほとんどですし、相続には相続税がかかってきます。その点には注意してください。
購入物件ですので、賃貸物件と異なり、部屋を自由にアレンジすることができます。
家族構成によってバリアフリーへの対応など、大掛かりなリフォームも目的に応じてほぼほぼ自由に行なうことができます。
賃貸物件とくらべ、購入物件である分譲マンションなどは基本的に部屋の質が高いケースが多いようです。浴槽の広さ、部屋の数、マンションの構造など同じぐらいの家賃ならば、分譲マンションの質のほうが高くなる傾向にあります。
住宅ローンを組むタイミングで「団体信用生命保険」に加入すると、万が一の不幸が起きてしまい、家族として住宅ローンの返済が困難になった場合でも、生命保険会社が銀行への住宅ローンの支払いを肩代わりして行なってくれるのです。万が一があった時でも、自宅を手放さなくて済むのは大きな保険となるでしょう。
1.初期費用が高い
2.修繕、管理などに費用がかかる
3.価値が変動する
4.金利
購入物件で最大のハードルになるのが、なんといっても多額の初期費用が必要となる点です。マイホーム購入を検討中の方は、今からでもしっかりと貯蓄を始めましょう。頭金を少しでも多く積むことで、住宅ローンで借りる金額を減らし、総支払いコストを抑えることが望ましいですね。
その物件の費用を払い終えるだけではなく、設備メンテナンス費用、固定資産税などの管理費用、修繕費、税金が都度かかってくることになります。
先にも触れましたが、購入物件の価値はその物件の老朽化などにより、時間が経つとともに購入時よりも価値が減少する場合が大半ですので、その点には十分注意してください。
長期の住宅ローンを組むことが多い購入物件では、金利の上昇によって月々の返済金額が上がってしまう場合があります。先行き金利が上がると予想するなら現在の金利で完済まで支払いをする固定金利で支払い、逆に先行き金利が下がると予想するなら変動金利を選ぶという方法があります。
しかし、10年、20年後の金利の上下を予想するのは難しく、最近では固定金利を選ぶ方が増えています。
物件の賃貸・購入の損得について、ここまでそれぞれの特徴を比較しながらお伝えしてきました。どちらが正解で、必ずお得になるという話ではありません。
例えばまだ社会人になりたてで、これから先転勤や転職など、ライフスタイルの変化が起こる可能性が高い方であればフレキシブルな選択ができる賃貸が向いていると思いますし、反対に結婚、出産を経て、ある程度生活エリアを固定させたいというフェーズにある方は、購入の決断をしやすくなるかもしれません。
賃貸物件と購入物件それぞれのメリット・デメリットを比較し、あくまでご自身のライフスタイルや将来の展望にあった物件選びを行うようにしてください。
ほとんどの方にとって、一生で一番高額な買い物になるのが不動産です。
ご自身のライフステージを考慮しながら、焦らずじっくり計画的に検討しましょう。